
スピネルの語源は、ドイツの鉱物学者アグリコ-ラが1546年に命名した、ラテン語でトゲを意味する「Spina」だと、言われています
和名を尖晶石といいます。
その名の通り、薔薇のトゲのような八面体の結晶で産出します。(漂砂鉱床の場合、硬度9のコランダムでも丸くなってしまうように、スピネルも同様です。第一鉱床の場合に結晶の形がよいのです。)ダイヤモンドと同じく地中深くで出来る鉱物ですが、ダイヤモンドとは異なりマグマに急激に浮上させてもらわないと、グラファイト化してしまうという脆さはないため、ゆっくりと移動することも出来、美しい結晶形が保たれていることが多いのです。中でもミャンマ-のモゴック地方からは、完璧な八面体結晶が発見されます。
スピネル本来の色は無色透明ですが、自然界には稀で、実際には着色成分となる遷移元素が不純物として含有されていて、様々な色相(赤・ピンク・赤紫・青・緑・紫・橙・褐色・無色等)を示します。
また、4条・6条のスタ-効果(アステリズム)を示すスピネルや、変色効果(チェンジ・オブ・カラ-)を示すスピネルも存在します。
スピネルは、コランダムと成分や成因が似ていることから、長い間コランダムと間違われてきました。スピネルが明解に認識されるようになったのは1783年のことです。
「ルビ-の代役からスタ-になったスピネル」
スピネルは世界の貴族・王俗族のジュエリ-に用いられてきました。英国王室の大礼用王冠「インペリアル・ステ-ト・クラウン」の中央前部にある170ctの「黒太子のルビ-」、エカチェリ-ナⅡ世の王冠の382ctのペアシェ-プ、ムガ-ル帝国の帝王の名が刻まれている352ctの「チム-ル・ルビ-」etc。
しかしそれはスピネルとしてではなく、ルビ-としてでした。誰もが目にする王権の象徴である王冠にあって、その華麗な美しさを称えられながら、ルビ-の代役として何世紀も名を知られずにいたのが「スピネル」なのです。
宝石鑑別が発達してルビーでなく、スピネルだと分かった今でも、国宝としてたくさんの人々に愛されています。
スピネルはルビ-やサファイアと違い、加熱処理はほとんどされていません。市場のほとんどのものが無処理であることも、スピネルの魅力でしょう。