ガーネットの語源は、ラテン語で種がたくさんあるを意する「granatum」で、石榴の実を表しています。
和名を柘榴石といいます。1月の誕生石です。
ガーネットは花崗岩や片麻岩の割れ目に、熟した石榴の実のように結晶していることからこの名前がつきました。天然のままで美しい赤色と、12面体や24面体の球状に近い結晶を持ち、最も古い時代から宝石として扱われてきました。ガーネットというと赤色のイメージが強いと思いますが、黄色・橙色・褐色・茶色・緑色・紫色・黒色など様々な色があります。ただし、青色については存在が確認されていません。
ガーネットは宝石の中でも最も長い歴史を持ちます。そのため、多彩な伝説を持ち様々な物語が残っています。ガーネットの人気は、19世紀ビクトリア朝時代に最盛期を迎え、ゴールドラッシュの時代とも重なり、ゴールドの台座のチェコ産のガーネットを留めたジュエリーが大人気を博し、ジュエリーショップの半分以上はガーネットで占められていたと言われています。
ガーネット族(Garnet Group)
ガーネットは単一の宝石の名前ではなく、同一の結晶構造と類似した化学組成を持つ(同質類像)鉱物グループにつけられた名称です。ガーネット族は、●3■2(SlO4) 3の化学式で表されるケイ酸塩鉱物で、●と■の成分がなにかによって種類が異なります。自然界には大きく分けて6種類のガーネットが存在します。


和名は紅柘榴石。
パイロープの語源は、ラテン語の「炎のような」を意味する「Pys」です。
ルビーと同じクロムによる着色で、ケープ・ルビー(南アフリカ産)、アリゾナ・ルビー(アメリカ産)などと呼ばれ、長い間ルビーと混合されてきました。最も有名な産地はチェコスロバキアのボヘミア地方です。

和名は鉄礬柘榴石。
この宝石の古い産地である小アジアの町「Alabanda」に因んで名付けられました。鉄分が多いため、暗赤色~濃赤色を示し、特に濃色のものは黒色に近く感じられます。針状のルチルインクルージョンが見られるのが特徴で、アステリズム効果(スター効果)が見られる石もあります。

ロードライトの語源は、ギリシャ語の薔薇を意味する「Rhodo」と石を意味する「Lite」です。パイロープとアルマンダイトの中間的な化学組成と特徴をもつ宝石です。1882年にアメリカのノースカロライナ州で発見されました。紫色を帯びた赤色は、パイラルスパイト系のガーネットの中で、最も高い評価を受けています。アルマンダイトとほぼ同じ地域で産出されます。

和名は満礬柘榴石。
この宝石の産地であるドイツのバイエルン州「Spessart」に因んで名付けられました。マンガンを含んでおり、橙赤色から帯紫赤色、帯褐赤色等の色を示します。明るいオレンジ色のものは、「マンダリン・ガーネット」の異名を持ちます。多くはグロッシュラー・ガーネットのヘソナイトと外観が似ていて間違えられやすい宝石です。

ロードライト・ガーネットと比較して全く人気がなかったため、スワヒリ語で「役立たず」や「娼婦」等、一般的に「屑」を意味する「マラヤ」と呼ばれていました。この呼称では酷すぎるため、産地(ウンバ鉱山)に因んで「ウンバライト」と呼ばれることもあります。
パイロープとスペサルタイトの中間的な化学組成と特徴をもつ宝石です。クロムやバナジュウムを含有し、カラーチェンジするものもあります。
和名は灰礬柘榴石。
ドイツで初めて発見された結晶が、スグリの実に似ていたことから、スグリの学名である「Grossularia」から名付けられました。
化学組成に還移元素を含まないので、純粋な結晶は透明無色石となりますが、実際には何らかの不純物を含むため、様々な色相を呈します。古くから市場に出回っていたのは、マンガンを含むオレンジ色透明石の「ヘソナイト」です。これはギリシャ語の「ヘッソン(もっとすくない)」が語源となっています。特に赤色の強いものは「シナモンストーン」とも呼ばれます。
1968年には、バナジュウムとクロムを含んだエメラルドグリーンのグロッシュラーがケニアのツァボ国立公園で発見され、テイファニーによって「ツァボライト」と名付けられ、世界中にプロモーションされました。
その他、塊状で産出する半透明石は、水分OHを含んでいるため「ハイドログロッシュラーライト」と呼ばれ、大別されています。

和名は灰鉄柘榴石。
宝石用として使用されるアンドラダイトには、緑色透明石の「デマントイド」・帯緑黄色透明石ないし黄色透明石の「トパゾライト」・黒色不透明石の「メラナイト」等があります。
和名は翠柘榴石。
アンドラダイドの中の緑色透明石で、鉄による緑色の起源ではなく、クロム含有の緑色石。
1853年頃、ロシアの中央ウラル山脈で輝きの強い濃いグリーンの宝石が発見されました。そしてそれはダイヤモンドのような美しい輝きがあったため、デマントイドつまりオランダ語で“ダイヤモンドに似た”という名前が付けられました。
デマントイド・ガーネットは、1875年から1917年のロシア革命によりロマノフ王朝が崩壊するまで、ロシアの宮廷ジュエリーとしてもてはやされ、皇族や貴族の身につける宝飾品を彩りました。特にロシア皇帝お抱えの宝石商Karl Faberge によって製作されたものは有名です。ロシア革命後は採掘が途絶え、ごく最近までアンティークジュエリーの中に時々見かけるだけの“幻の宝石”になっていました。
しかし、2002年にSissertsk 地域Kladvkaの再開発がはじまり、再び宝石市場に現れるようになりました。
ウラル産デマントイド・ガーネットに見られるアスベストの細かい毛状の内包物は、「ホーステール・インクルージョン」と呼ばれ、馬を愛するヨーロッパの貴族階級の間で「幸運の象徴」として古くから珍重されています。

グロッシュラーとアンドラダイドの中間的な化学組成と特徴をもつ宝石です。1994年に市場に登場しました。2種類のガーネットの名称を合わせて「グランダイド」とも呼ばれていますが、産地であるアフリカのマリ共和国に因んで、マリ・ガーネットと呼ばれることが多いようです。
和名は灰格柘榴石。
クロムによる鮮やかな緑色の美しい結晶として産出しますが、透明結晶は通常非常に小さいため、宝石としては加工されていません。